2017年11月10日(金)
【爪と歯】

爪を切ろうと思った。
4日ほど前に。
お風呂上がりに切ろうと思って、4日が過ぎてしまった。
もちろん、4日間風呂に入らなかったわけでは、もちろん、もちろんないが、風呂に入るとなんでもよくなってしまうのが敗因であった。

しかし昨日はお風呂から上がっても、豚汁の温まり具合がややもう少しだったので、ようやく爪を切ることができた。

本日は、仕事終わりで歯医者に行った。
歯医者に行くのは、三年ぶりくらいだろうかと思う。
歯医者に行って、現状として、少し前に痛んだが、今は全然痛くない旨を話した。
怪訝な顔をされた。
レントゲンをとった後、真っ先に言われたのが「親知らず、抜かないといけませんね」だった。
その後、特に虫歯が見当たらないことと、銀歯の詰め物の奥が虫歯になっている可能性があることを、多分言っていたと思うが、親知らずを抜くのが嫌すぎて、あまり聴いていなかった。
そしたら急に
「…………抜くの、嫌ですか」
と尋ねられたので
「嫌ですね」
と答えると
「じゃあ抜かないとどうなるか説明するね……」
と、その後、何か怖いことを沢山言われた。
おそらくの問題は、僕の親知らずに噛み合わさる歯がなく、歯茎に当たっている点だった。

僕の親知らずは、孤独だった。
「親知らず」という言葉と「孤独」というのは、かなり親和性が高いように思う。
まあ、そのときはそんなこと考えている余裕は一切ないので、なんとかならないかと
「削るので、どうにかなりませんか」
と尋ねると
「なりますよ、でもね……」
と、また怖いことを言われた。
しかし「じゃあ今削りますか?」
と言われたので、「はい」と答えて、今に至る。

なんだか、今思えば、横柄なお医者さんだった。
色々びびらされた。やれ磨き残しだの、歯茎が腫れているだの、一月に一回は掃除に来いだの、なんだか偉そうだった。
そう言えば、自分の前にいたサラリーマン風の人も、帰り際、受付の女性に「遅刻したの、怒られちゃいました」とへらへら言っていた。
遅刻していたら、おそらく抜かれていただろうと思う。

でも、虫歯はなくて良かった。

だが、文句を言いながらも、あの歯医者にまた行こうとは思っている。
しばらく、歯磨きの丁寧レベルを上げて、歯と歯の間に糸も入れて、かなり良い状態にしてから、行ってやるぞと、意気込んでいる。

帰り道、舌で親知らずを触って、あのトゲトゲしさがなくなったのを感じて、なんだか寂しくなった。
喪失感だと思う。

爪には全く感じないが、流石に歯の形が変わると、なんだかやるせない。
あと、比喩でなく、噛み合わないという僕の親知らずは、果たして歯と呼べるだろうかと、少し考えた。

弟に教えてもらったドラクエのカードゲームみたいなアプリをやっているが、なかなか勝てない。
そろそろやる気がなくなるのではないかと思っている。


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