2016年7月29日(金)
【眠れない夜】

おそらく、人間に平等に訪れるもののかなり上位として「眠れない夜」というのがあるのではないだろうか。
今僕はまさに眠れなくて夜。

ゼミの前日の眠れない夜でなく、正統派の眠気の来ない夜というのを、とても久々に感じている。
思えば、眠れない夜の回数は年々減ってきているように思う。昔はよく夜眠れなくて、困っていた。本を読むのに電気をつけようと思っても、隣で眠っている弟たちが起きるかもしれないし、それはともかくお母さんに気づかれて怒られるかもしれないと思うと、とりあえずずっと考え事をしているしかなかった。
そういうときの、僕の眠れない夜のお供は弔辞だった。弔辞ってあれだよ、お葬式で読むやつだよ。
初めて弔辞の存在を知ったのはいつだったか全く思い出せない。初めて葬式に参加したのは、小学校低学年の頃の、母方の祖父のだったと思う。しかし、お坊さんの念仏を聴きながら目立たないようにほんの少しだけ踊ったこと以外は全く思い出せない。
とにかく、テレビでみたのか本で読んだのか分からないけども、僕はどこかしらからか弔辞というものの存在を知って、眠れない夜には誰かの弔辞を考えるようになっていた。
始めは、家族の弔辞だった。とにかく毎夜、早すぎた家族の死を嘆いていた。それが父なら、長男である自分がしっかりすることを誓ったり、母なら僕が弟たちの面倒をみると宣言したり、弟のどれかなら、先に逝ったことをせめつつ、僕は一生忘れないよと言った。
しかしどんなときも、まず最初の一言として「今……………………とても……………………悲しい、です」と、率直に嘆くのは忘れなかった。間とか、涙のこらえかたとか、そういのも意識した。すると段々と本当に感極まって、泣いてしまうこともよくあった。
今思えば、あれは悲しみではなくて、感動の涙だったと思う。

そして、いつからか、家族以外の親しい友人の弔辞も考えるようになった。そういうときの友人の名前の呼び方は大事で、最初は名字に君づけでありつつ、途中から熱っぽく、ごくごく自然にいつもの呼び方にかえていくよう気を使った。むしろ、普段はそんなに呼び捨てにしない僕だけど、そういうときには積極的に呼び捨てにしていった。
そして、いつからか、そんなに親しくない友人の弔辞も考えるようになった。数少ない思い出をかき集めて美化して、後半で「俺、本当は○○だったよ…………」と、生きている間に伝えられなかった何かしらを伝えた。

僕ほど、弔辞について熱心に考えている人間はいないと思うが、今のところオファーがなくて、結構なことだと思う。

しかし、最近は弔辞を考える夜も大幅に減った。おそらく、中学二年生がピークだったと思う。しかし、これはあの、思春期特有の何かが過ぎたからでなくて、おそらくこれは、眠れない夜の減少によるものではないかと思う。
眠れない夜の減少というより、眠るべき夜の減少だろうと思う。
大人になればなるほど、夜というのは、眠らなければいけない時間から、眠った方が良いけどもまぁ眠らなくても良い時間、になってしまった。
眠らなくても良いし、僕には自分の部屋も出来たから、いつでもスタンドライトで本が読めるし、むしろ眠くなる前に宿題をやらなくちゃいけないし、むしろ眠いし。
そう、夜は眠くなるようになった。

眠くなくとも、夜の選択肢は年々増えている。昔は、眠るか弔辞を考えるかの2択だったのが、今では眠るからポケモンGOまで、無数の選択肢がある。

それでもたまに、僕は弔辞を選ぶときがある。友達と遊んだ後は、かなり高確率で弔辞の夜になる。それで少し泣いて、スッとして、気分良く眠る。

ここまで書いて、まだあまり眠くない。
どうしようかと思っている。

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